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この春、大学院を修了した学生から生命システム科学専攻への入学動機、研究生活、大学院で得られたもの、これから進学を考えている人へのメッセージなどを寄せてもらいました。本専攻について知って頂き、興味や関心をもつ一助としてもらえればと思います。
谷村 友翼
応用生命科学分野 博士課程前期2021年度修了
私は「高濃度アスコルビン酸によるヒト線維肉腫細胞の細胞増殖抑制および細胞死誘導」をテーマとして研究に取り組んでいました。このテーマは学部時代からの引き継ぎであり、テーマを深く掘り下げ、より詳細なメカニズムを解明していきたいと考え、生命システム科学専攻への進学を決意しました。また、就職先として研究職を視野に入れていたため、本学で医薬品開発にもつながる生命科学関する知識をより深く学びたいと思ったのも本専攻を選んだ理由です。
学部時代よりも実験結果から論理的に考察を導く力や相手に合わせて指導する力、目上の方(研究室内では先輩や担当教授)に対し実験内容について議論、交渉する力など研究テーマを深める以外にも多くの力をつけることができました。研究室ではTA(ティーチングアシスタント)として、学部学生の指導の一部を行うことで、責任をもって指導にあたるという経験も積むことができました。また、研究成果を学会等で専門分野の先生方の前で発表する機会は緊張しますが、大学院生ならではの貴重な経験かと思います。
学部卒業後、大学院へ進学するか、企業等へ就職するかは人生の中でも大きな決断だと思います。当時、私自身も少し悩みましたが、研究に関心があるのであれば一度は経験しておきたいと思い、大学院への進学を決めました。私は大学院で多くのことを吸収できたと実感しており、進学して本当に良かったと思っています。「自分が将来どうなりたいのか」をよく考え、悔いのない決断をしてください。応援しています。
松本 晏奈
環境科学分野 博士課程前期2021年度修了
写真:(左)本人(右)青柳先生
「特異的生体親和性を示す天然リグニン由来新規化合物の設計と合成」というテーマで学部から大学院まで研究を行ってきました。この研究は現在ほとんど利用がなされていない「リグニン」という植物に含まれる成分を用いて特定のタンパク質やアミノ酸などを捕まえる新素材を合成するといったテーマです。「化学」「植物」「生物」といった一見関係性の少ない分野を複合したとても面白い研究です。こういった様々な分野からの視点に気付くことができるのも環境、生命、食品など幅広く研究を行っている本校ならではだと思います。
さらに自分の研究内容について掘り下げたいと思い、大学院進学を決めました。私は学部3年生から4年生にかけて有機合成の分野で研究に取り組んでおり、進めるうちに自分が目標としているところまでやり切りたいと思うようになりました。また分析方法も自分が知らなっただけで様々な方向から結果にアプローチできることも知り、もっといろんな器具に触ってみたいと感じました。大学院進学後は学部の時よりもさらに詳しい合成法や分析法を学ぶことができ、自分の研究に活かせたと思います。
多くの経験と縁を得ることができました。この経験の中でも自分は発表の機会が多くいただけたことがよかったと思います。研究室配属当時、研究内容の紹介や研究結果の報告の際に伝えたいことが相手に伝わらず悔しい思いをしました。そこで学内や学外の場で多く発表をし、たくさんの方からアドバイスを頂き改善することでだんだん伝えたいことが自分の中でも整理できるようになりました。ダイレクトに自分の改善点をアドバイスしてくださる方々と出会えたのは非常に貴重な縁だったと思います。「伝える力」は社会に出ても必要だと思うので得難い経験をすることができました。
大学院進学か就職するか悩んでいる方は多いと思います。正直なところ、進学しても就職してもそれぞれ得られる力は違うけれど多くのスキルは得られると思います。大事なのは自分が何をしたいかではないでしょうか。私は研究をしたくて進学しました。この選択は大学院を修了した今振り返ると、とても良かったと思います。皆さんも自分が何をしたいか、将来どうなりたいのかを想像して、ふと振り返った時に良かったなと思える選択をしてください。